■ 今 週 の 特 集 ■
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毎週、様々なテーマでお届けします。
ちょっぴり硬派な内容から、かる〜いノリのネタまで、幅広く取り上げていきますのでお楽しみに!
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■■ チョコレート ■■

カカオの実
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チョコレートの主原料カカオ豆は、カカオの木になる、果実の中にある種子です。
カカオは赤道の南北緯20度以内、平均気温27度の高温多湿な地域で栽培されており、西アフリカ、中南米、東南アジアが主な産地です。中南米ではBC2000年頃から栽培されていたと言われています。
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カカオの木は、学名をテオブロマ・カカオといい、テオブロマとはギリシャ語で「神さまの食べもの」という意味(この学名は18世紀に植物学者リンネにより命名されました)ですが、古代メキシコのアステカ帝国ではカカオ豆のことをカカオトルと呼んでいました。これは苦い汁という意味で、これがヨーロッパに伝えられた時、いつのまにか「トル」が取れてカカオになってしまったのです。当時、カカオ豆はケツァルコアトル(アステカ文明における神様)が授けてくれたものとされていました(カカオ豆は大変な貴重品で、宗教儀式に使われたり、通貨として用いられたりしていました。100粒で奴隷が、10粒でうさぎが買えるほどの価値があったといいます!)。アステカ流の呼び名では、樹の名前がカカバクアルイトル、実の果肉部がカカバセントリ、種がカカオトルで、そのカカオトルでつくった飲み物をショコラトルといっていました。これが「チョコレート」の語源です。
【アステカ流ショコラトルの作り方・飲み方】
1. カカオを土器に入れて焙煎した後、石版の上に置いて石の丸棒で叩き、どろどろになるまですりつぶす。
2. これをモリネットとよばれる撹拌棒で激しくかきまぜ、水に溶かし、ビールのように泡だった飲み物として飲む。
3. 唐辛子を入れて飲む場合もあった。(さすが!)
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ショコラトルをつくるアステカ族
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このショコラトル、ココア豆をすりつぶしただけの飲み物で、名前の通り、非常に苦い飲み物でしたが、栄養薬に留まらず万能薬とみなされていました。その効用は「極度の疲労の回復にこれほど効くものはなく、病気や傷にも効き、毒蛇に噛まれても大丈夫」とさえいわれたほど。

モンテスマとコルテス
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アステカ文明は16世紀の初め、スペインの侵略によって滅亡するのですが、最後の皇帝・モンテスマは大のチョコレート好きで、金のカップに金の匙で1日50杯も(!)チョコレートを飲み、使ったカップは宮廷の池に投げ捨てたと言い伝えられます。
アステカの征服者・コルテスはその栄養的価値・商品的価値を認め、軍隊に強制的に飲ませたりもしました。1519年のコルテスの日誌には「ショコラトルを飲むと一日中旅しても疲れることなく、他の滋養物は必要ない」と書かれています。
コルテスは1526年にスペインにカカオを持ち帰り、これがヨーロッパ、ひいては世界中にチョコレートが広まったきっかけとなったのでした。
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さてこのチョコレート、良質の乳たんぱく質、鉄分、食物繊維、ビタミンEなどが多く含まれ、(食べ過ぎなければ)健康に良い、と言われています。よく、チョコレートを食べると虫歯になる、と言われますが、それも実験の結果、迷信であることが分かりました。
そしてまた以外な研究結果も報告されています...
チョコレートの成分に、フェネチルアミンという化学物質があるのですが、これは「恋愛化学物質」と呼ばれています。人が性的に刺激されたとき、脳はこのフェネチルアミンを放出、フェネチルアミンは、心拍数と血圧を上昇させるのです。ということは、チョコレートを食べていると、人は恋愛状態になるってこと?
また、チョコレートは、脳を刺激して、中枢神経系に作用するエンドルフィンを放出させます。エンドルフィンは、自然の鎮痛剤で、行動にも影響するらしいのです。エンドルフィン濃度の上昇は、私たちに幸福感をもたらします。これが、「チョコレートハイ」といわれる状態です。
そこで私は納得しました。メキシコ人のあのハイ・テンションな明るさと恋愛体質は、アステカ時代から身体に摂取されているチョコレートがつくりあげていたのですね! 明治初年にやっとチョコレートと遭遇した日本人が勝てる相手ではないのです。恐るべし、メキシコ人。
ところで、昔、メキシコを旅行した時、お土産にチョコレートの延べ棒(?)みたいなのを買いました。確か、場所はオアハカだったと思います。1パックに4本の太いチョコレートの塊が入っていました。パッケージにはアステカ人のイラストが描かれていて、お値段はかなり安かったです。食べる用のチョコレートではなく、飲むためのものだ、と説明を受けました。安い割にはすごく重くて、でも我慢して日本まで持って帰りました。日本で早速、温かいミルクに溶かして飲みましたが...
ココアを想像して飲んだ私には、味はかなり素っ気なく、ワイルドなものでした。おいしいとは言いません、でもメキシコお土産としては珍しがられる良品だと思います。メキシコに行かれた際は、是非、お試しを!
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