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2001.12.17号(行事)

■■ グアダルーペ聖母の日 ■■

メキシコでは12月12日は褐色の肌を持つ聖女グアダルーペの日です。この日のために何日もかけて、地方から徒歩でメキシコシティのグアダルーペ寺院(バシリカ)にやってくる人々、バスや車でやってくる人々がいます。今年のグアダルーペ聖母の日も多くの巡礼者がバシリカを訪れました。またローマ法王がテレビサが新しく立ち上げたグアダルーペ聖母のホームページを最初に開いたりという行事もありました。メキシコ人が愛してやまないグアダルーペ聖母について、今週は特集します。

【信心深いメキシコ人】

メキシコシティ南西部のサンタフェにある大学に通っていた当時、学校の行き帰りに毎日利用していたペセロ(乗り合いバス)でいつも感心させられたのが、25分強の道のりの間にあるどんな小さな教会も見落とさず、メキシコ人が十字を切っていたこと。最初は、すごい勢いで通り過ぎるペセロからでは私の目には教会が見えなかったので、ペセロがよっぽど怖い乗り物なのかとちょっと恐ろしくなったりしました。(飛行機の中で十字を切る人っているじゃないですか。)

メキシコ人の多くは、カトリック教徒で、しかもとても信仰心が篤いのです。他の場所でバスに乗ってもやはり教会の前では十字を切る乗客が少なからずいますし、タクシーなどのクルマはルームミラーに必ずといっていいほどロサリオがつり下げられていたり、マリア様の絵やペンダントなどが飾ってあります。教会にいけば、平日の昼間でもお祈りを捧げている人たちがいて、皆一心に頭を垂れているのを目にします。

【褐色の聖母、グアダルーペ】

多くの人々で埋め尽くされた現在の礼拝堂

そんなメキシコ人の信仰の対象となっているのは、褐色の肌と黒髪の聖母、グアダルーペです。欧米や、欧米の影響を強く受けた日本などでは聖母は白人として描かれています。しかし、メキシコ人が敬愛してやまないグアダルーペの聖母は、メキシコの混血社会を象徴するように、先住民と同じ肌色、髪の色をしているのです。

グアダルーペ寺院を訪れるとまず目にはいるのが、近代的な作りの現在の礼拝堂と、地盤沈下で傾いた古い教会。そして右手のテペヤックの丘の階段を上がりきったところに、小さな礼拝堂があります。その礼拝堂の中にはグアダルーペの聖母がこの世に姿を現したときの様子が、壁画となって描かれています。


グアダルーペの聖母は1531年の12月9日、テペヤックの丘の麓を歩いていた先住民のフアン・ディエゴの前に姿を現し、この地に教会を建設するように告げました。しかしフアン・ディエゴがこれをスペイン人司祭に伝えても、インディヘナの身である彼の言葉を信じてはくれません。聖母はフアン・ディエゴの前に11日、12日にも姿を現し、12日に「丘のバラの花を摘んで証拠として持っていくように」と告げました。フアン・ディエゴは聖母の言葉通りバラの花を摘んで自分のマントにくるんで持っていきます。結局スペイン人司祭を信じさせたのは、冬に咲くはずもないバラの花だけでなく、バラの花を見せようとマントを広げたところマントの表面に浮かび上がった褐色の聖母の像でした。

グアダルーペ寺院の現在の礼拝堂にはこのマントの布が頭上遙か高いところにガラスの額縁に入れられて飾ってあります。昔は手で触れることもできたそうですが、傷みが進むのを恐れて現在はこのような語ちで多くの人々の目に触れることとなったのです。この布については科学的な調査がいろいろと行われてきたのですが、まず500年近くも前のものとは思えないほど保存状態が良いこと(傷みが少ない)、聖母像が描かれている染料が地球上に存在しない成分からできていること、聖母の目を拡大してみるとフアン・ディエゴらの姿が映っていることなど、いろいろと不思議なことがあるようです。

【お祈りもインターネットで!?】

礼拝堂前の広場で夜を徹して待つ人々

これにちなんで毎年12月12日はグアダルーペ聖母の日とされ、多くの巡礼者がメキシコシティのグアダルーペ寺院を訪れます。遠く地方から来る人々の中には、徒歩でここまでやってくる人もいるのです。また、バスを仕立てて、あるいは自家用車で、という人々もいて、グアダルーペ寺院のあるマデロ地区の役所は臨時の駐車場を作ったり、いくつかの通りを封鎖してバスターミナルにしたりといった対応をします。これは、寺院の近くに住む住民と、徒歩でやってくる巡礼者たちの便宜を図ったものなんだそうです。今年も予測で700万人とも言われる人々が寺院につめかけ、12日を迎えました。12月12日の午前0時に行われるミサには多くの人々が参列します。


メキシコでも割と庶民レベルまで普及が進んだインターネットですが、もちろんグアダルーペ聖母のホームページもいくつかあります。中でも今年の目玉はテレビサのEs mas.comというサイトが作ったページ。なんと、ローマ法王がノートパソコンを使ってアクセスし、第一番目の訪問者となる、という行事がバチカンで行われたのです。

法王はすでにメールを使ったりしたこともあるそうですが、、パソコンの扱いにはあんまり慣れてはいない様子だったということです・・・。でも写真を見る限りタッチパッドを使っている!?マウスにしてあげたほうが親切だったのでは。。。なんて余計なお世話でしょうが。


ニューヨークで12月12日を祝うメキシコ系住民

そしてかなりびっくりなのが、インターネット上のサイトからお祈りを送れるようになっていること。サイトにはもちろん、グアダルーペ聖母の奇蹟のテキストや写真、絵、歌、グアダルーペ寺院礼拝堂内のビデオ映像、はては聖母様グッズのオンラインショップまで!(まだオープンしてないようですが)主に国外に住むメキシコ系の人々や信者が対象のようです。英語のサイトももちろんあります。

** 主なサイト **

Virgen de Guadalupe (esmas.com)

Interlupe

Cyberbasilica

(kanae)


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