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2002.01.14号(食べ物)

■■ ドゥルセ・デ・レチェ ■■

最近、日本のお菓子業界では「キャラメル味」が流行っていると思いませんか?アイスクリーム、ポップコーン、ヨーグルト、キヤンディー、クッキー...。私はコンビニのお菓子売り場を必ず1日に1度はチェックしているのですが、昨年頃からキャラメル味のお菓子が増えてきているのに注目していました。そして昨年、ハーゲンダッツアイスクリームに新しく加わったキャラメル味の「ドゥルセ・デ・レチェ」。発売が開始されたときのTVCMはラテン系の男女が情熱的に絡み合って踊りながらこのアイスを食べる、というものでした。なぜ、ラテン系なのか。それは、このドゥルセ・デ・レチェは、アルゼンチン生まれの味だからなのです!!

「ドゥルセ・デ・レチェ(dulce de leche)」は、日本語に直訳すると「甘いミルク」。ミルクを甘く煮詰めて作られることからこの様に呼ばれているのでしょう。見たことがない方はよく分からないかもしれませんが、キャラメルが固まる前の状態のソースがドゥルセ・デ・レチェなのです。作り方は以下のとおりです。

材料

牛乳5カップ、砂糖1.5カップ、バニラビーン1かけら、ベーキングパウダー小さじ1

作り方

@ 大きめの鍋に牛乳を入れ、中火にかける。牛乳の膜が表面に張るのを待つ。決してかき混ぜない。膜が厚くなって膨らんできたら火を弱めて膜を取り除く。これを3回繰り返す。

A 砂糖とバニラビーンを加え、砂糖が溶けるまでかき混ぜる(約2分間)。火を弱め、ベーキングパウダーを加える。牛乳が鍋から噴きこぼれないないように気をつけながら、牛乳の量が半分になるまで常にかき混ぜて煮詰めていく(約1時間)。

B さらに火を弱め、3時間半ほど更に煮詰める。時々、かき混ぜて泡を取り除く。色が茶色になっていく。

C こし器でこしてボールに入れ、ラップして冷蔵庫で冷やして出来上がり。(約1.5カップのドゥルセ・デ・レチェが出来上がります。)

えー、そんなに時間がかかるの、面倒くさ〜い。という人のために、もうちょっと簡単な作り方もご紹介。

材料

コンデンスミルクの缶1つ

作り方

@ コンデンスミルクの缶を水が入っているポットに入れる。

A ポットを火にかける(ストーブの上でも可)。1時間半から2時間でトロトロのドゥルセ・デ・レチェが出来上がり。水は必要に応じてポットに注ぐこと。

B 缶は少し冷ましてから、十分注意して開けること。コンデンスミルクは茶色くなっています。

注意:ポットを火にかけている間は、絶対缶から目を離さないこと!缶が破裂しそうになったら、すぐに火から離して冷ますこと。缶の上部分に小さな穴をあけておけば、破裂は避けられるが、そのときは中に水が絶対に入らないように注意する。

アルゼンチンの家庭ではこのように時間をかけてドゥルセ・デ・レチェを作るのかというと、そんなことありません。私はアルゼンチンでこれを作ったことも、作っている人を見たことも一度もありませんでした(ホームスティしていた家のおばあちゃんは昔、作っていたらしいですが)。色々なメーカーが、カップや瓶に入ったものを売っているからです。

メーカーは様々でしたが、各家庭に必ず、このドゥルセ・デ・レチェは冷蔵庫に入っていました。食べ方としては、朝食時やマテ茶を飲むときに食べるクラッカーやパンにぬるのが一番オーソドックスでした。他に、アイスクリームと混ぜたり、チーズに塗ったり、そのままスプーンにすくって食べたり...。一番驚いたのは、食後のポストレ(デザート)として、缶詰に入っている桃(シロップ漬けになっているやつ)にたんまりこのドゥルセ・デ・レチェをのせて出されたことです。お調子者の私は「すっごーい、超おいし〜。」とか言いながら全部食べましたが、とても甘くてちょっと気持ち悪くなりました。

アルゼンチンには牛が人口の3倍の数が飼われており、牛肉や乳製品が豊富です。アイスクリームも濃厚な味でおいしく、私は「dulce nieve」というアイスクリーム屋によく行っていましたが、そこでもドゥルセ・デ・レチェ味は人気でした。これにハーゲンダッツが目をつけて、米国で売り出したところ、大変好評だったので日本にも上陸したそうです。

アルゼンチンですっかりドゥルセ・デ・レチェに夢中になった私は、日本に帰ってからどうしてあんなにおいしいものを日本は輸入しないんだろう、と思っていました。すると、最近のキャラメル味ブーム。私にもっと才覚があったら、ハーゲンダッツより先にドゥルセ・デ・レチェを日本に紹介してブームを作ることができていたのかも...

最近のアルゼンチンのニュースを見ると、街は混乱して、スーパーでは暴徒となった市民が商品を略奪している場面が映し出されます。でも、アルゼンチンは、資源は豊富だし、国民の教育水準も高い国です。早くこの危機を脱して、私の大好きなアルゼンチンの人たちがゆっくりとマテ茶と、ドゥルセ・デ・レチェをたっぷりとぬったクリオージョ(パンの種類)を楽しむ日がくることを願いながら...

おまけ

ドゥルセ・デ・レチェが恋しくなると、私は「共立食品株式会社」が販売している「キャラメルシロップ」を買います。これはアルゼンチンのドゥルセ・デ・レチェに比べるとちょっと水っぽいですが、代用できます。チーズに塗って食べるのが一番好き。

また、レストラン「Sizzler」のアイスクリームにかけるキャラメルは、かなりドゥルセ・デ・レチェに近いです。機会があったらお試しを!

(aya)


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