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2004.04.06号(民俗舞踊)

さかぐちとおるさんによる
■■ メキシコの民俗舞踊写真展 ■■

注:全ての写真の著作権はさかぐちとおるさんに帰属します。
無断でのご使用はご遠慮ください。
写真をクリックすると大きな画像で見られます。

さかぐちとおるさんのプロフィール

メキシコのBallet Folkloricoが来日公演を行ったり、テレビでもその模様が放映されたりして、日本でもメキシコの民俗舞踊を見られる機会が増えてきました。実際にメキシコに行くと、一年を通じて各地でいろいろなお祭りがあって、そのたびに郷土色豊かな踊りが見られますし、アステカの踊りなどはシティのソカロや聖母グアダルーペゆかりの教会前の広場、国立人類学博物館などで、ふだんから見物することができます。

今回の特集でご紹介するさかぐちさんの写真は、GWには表参道のプロモ・アルテギャラリーで見られますが、ちょっと先取りしてご紹介します。さかぐちさんは、メキシコ編ではコララテも全面協力した、トラベルジャーナル社の「ワールドカルチャーガイド」シリーズ・キューバ編の編集や執筆を担当されたかたですが、そのほかにも地球の歩き方やNHKのスペイン語会話テキストへのコラム執筆など、幅広く活躍されているので、ご存じの方も多いことと思います。

メキシコの取材を始められたのは2001年からで、取材旅行は通算で5ヶ月におよび、フィルムは250本以上! メキシコの取材から戻られた今年の2月半ばに初めてお会いしたのですが、バス転覆事故から生還されたお話など、びっくりするような体験談をたくさんうかがいました。まさに命がけ!?のメキシコ取材中に撮影された民俗舞踊の写真の数々を見に、みなさんも是非、表参道まで足を運んでくださいね!

以下、さかぐちさんご自身の文章による民俗舞踊の説明と写真をご紹介します。

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メキシコの民俗舞踊

 メキシコは音楽舞踊の宝庫です。全国各地に様々な舞踊が根付いており、先住民起源のもの、スペインなどのヨーロッパ起源のもの、そしてその両者の要素を取り入れて発展した多種多様な舞踊が継承されています。舞踊そのものだけでなく衣装も見もので、踊り子たちが身にまとう衣装は色鮮やかで美しい模様やししゅうが施されており、踊りの華やかさをよりいっそう引き立てています。
 それでは簡単に、主なメキシコの民俗舞踊を紹介しましょう。
(以下、本人執筆による『地球の歩き方 メキシコ』の特集記事を一部流用しています

●● アステカの舞踊 ●●

首都メキシコなど中央高原地帯では、アステカ起源の踊り「コンチェロス」が見られます。踊りのステップや衣装はもともとスペイン人が来る以前のアステカ起源のものですが、キリストの神に捧げる踊りである点がアステカ時代と異なります。

 男性はアステカ風の飾りのついた腰巻きを、女性は同様な飾りのついたドレスのようなものを身につけ、男女とも長い羽のついた冠をかぶります。踊り子の中には、自分たちの帰属意識を求めてコンチェロスを踊る先住民の人々も少なくありません。

●● ハリスコ州の舞踊 ●●

 マリアッチ発祥の地として知られるハリスコ州。このマリアッチ楽団の演奏に合わせて踊られる「ハラベ・タパティオ」と呼ばれるハリスコの舞踊は、メキシコ民俗舞踊の象徴の一つとしても広く知られています。女性はチーナ・ポブラーナと呼ばれる衣装を身につけてスカートを大きく振り、大胆にそして優雅に舞います。男性はチャロという牧童貴族のスーツに金ボタンが装飾された衣装、ブーツや大きなソンブレロを身にまとって威勢良く踊ります。

●● ベラクルス州の舞踊 ●●

 アルパの美しい音色と歌が響き渡る音楽ソン・ハローチョ。港町であるベラクルスはスペインやカリブ海の文化の影響を受け、ハローチョの踊りもスペイン舞踊ファンダンゴの要素が見られます。比較的テンポの速い曲が多く、パソ・フロタード(浮き足)とも呼ばれる小刻みなステップを踏みながら、陽気にそして優雅に踊ります。衣装は男性は上下白に赤のバンダナを首に巻いて、パナマ帽を被ります。女性はレース生地の白いドレスに黒い前掛けと赤のバンダナ、ネックレスなどの装飾品に身につけて扇子を持ちます。
 同じベラクルス州でも北部には、逆さ吊りになって回転しながら降りてくるトトナカ族の儀式ボラドーレスが伝わっています。

●● オアハカ州の舞踊 ●●

 オアハカ州には各地に先住民文化が色濃く残り、音楽や踊りも受け継がれています。毎年7月に開催されるゲラゲッツァの祭りでは、7つの地方の踊りが披露されます。オアハカ州の中でも地方によって文化が異なり、海岸地域は投網漁やウミガメの卵拾いが題材に、山岳地域では種蒔きや収穫など農作業が題材になっているなど、それぞれの地域の特色が踊りに反映されています。
 代表的な舞踊としては、羽飾りを頭に被って飛びながら踊る「ダンサ・デ・ラ・プルマ」、色鮮やかな衣装を着てパイナップルを持って踊る「フロール・デ・ピーニャ」、黒地の布に細かいししゅうが施された衣装が美しい「サンドゥンガ」などがあります。

●● ミチョアカン州の舞踊 ●●

 プレペチャ族をはじめ、先住民文化が根強く残るミチョアカン州。舞踊曲の音楽は多くはバイオリンなど弦楽器を中心に演奏されます。踊り子たちは素足やわらじを履いて踊ります。男性の衣装は下は白地に裾が模様が入っていて、上はサラッペをまとうこともある。女性のスカートは何重にもなっていて、そのスカートを少し持ち上げてすり足で踊ることも多いです。
 代表曲「ダンサ・デ・ロス・ビエヒートス」は若者が老人の仮面をかぶって、無理に若ぶって踊る年寄りをコミカルに演じます。

●● ユカタン州の舞踊 ●●

 管楽器のオーケストラにお椀型の打楽器ティンバニーが入った、ユカタンの伝統音楽ハラナ。この演奏に合わせて、ユカタンの舞踊が上演されます。男性の衣装はベラクルスに似ていますが、女性の衣装は白地に大きく花柄が入っており、この地方のウイピルをより華麗にしたような美しいものです。

 舞踊曲は数多くの種類があり、「フェロカリル」のように頭の上にコップの並んだお盆を載せて踊るものから、闘牛を題材にしたもの、棒にくくり付けられた紐を編んでいく「ダンサ・デ・シンタス」など多種多様です。

●● メキシコ北部(ノルテ)の舞踊 ●●

 チワワ州やタマウリパス州、ヌエボ・レオン州などのメキシコ北部は、ヨーロッパからの入植者が多い地帯。ノルテーニョと呼ばれるアコーディオンを用いた大衆音楽が盛んです。踊りとしてはポルカやレドバ、ショティシュといった欧州起源の要素が取り入れられ、軽やかで陽気なペアダンスが有名です。タマウリパス州ではワパンゴの踊りも盛んです。

さかぐちとおるさんプロフィール

神奈川県出身。中央大学法学部卒業。
テレビ局の関連団体に4年間勤務。退職後はフリーの著述家・編集者として活動している。
『地球の歩き方 メキシコ』をはじめ旅行誌の取材執筆、編集などを手掛けており、中南米やスペイン、ポルトガルを幅広く取材。著書に『キューバ音楽紀行』(東京書籍)がある。
NHKテレビスペイン語会話テキストで、4月号から『メキシコ文化探訪』を連載中。

(kanae)


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