第6回

いよいよ始まりましたね・・・W杯。


ウルグアイは緒戦、デンマークに惜しくも負けてしまい・・次回2戦目のフランスとの試合が生きる死ぬかの決定戦となってしまいました。今、これを書いてて思い出したのですが、うちの兄は、フランス在住・・・海を隔てて同じ試合に手に汗握ることになるでしょう。たぶん仏が勝つだろうけど・・サッカー何が起こるかわかりません。ウルグアイの「チャルーア精神」に期待です。(チャルーアとは、スペイン入植者に最後まであきらめずに果敢に立ち向かった先住民族チャルーア族のこと・・・結局のところスペイン人の手により絶滅されてしまいましたが!)マテ茶を飲んで頑張れ!

そんなこんなで、こちらのTVはW杯一色、ケーブルTVだとお隣アルゼンチンのチャンネルが沢山見れるのですが、ご存じの通り、アルゼンチンは経済も政治も瀕死の状態。サッカーだけが唯一の希望といったかんじで、恐ろしいほどの盛り上がりぶりです。アルゼンチンが優勝出来なかった場合、鬱病や自殺が多発するのではとの懸念も一部で広がっていますが・・・

ウルグアイもアルゼンチン経済の影響を受け、深刻な不況の中にあります。影響としては、輸出の他に観光による外貨収入が激減(数多くのアルゼンチン人が夏に避暑にやってきます)したこと等があげられます。また、ウルグアイは金融の自由化がかなり進んでおり非居住者預金の比率も高いのですが、これにアルゼンチン人が占める割合は8割近く・・・アルゼンチンにおける預金引き出し制限の余波で、こちらの預金引き出しが殺到したため金融システムにまで懸念が広がりました。

島国の日本の感覚では、ちょっと分かりづらいですが、川を隔てて(高速フェリーだとモンテビデオ・ブエノスアイレス間は3時間半)隣り合った両国は、まさに一心同体・・・もともと植民地時代には同じスペインの副王領に属していましたし、ウルグアイの正式名称「ウルグアイ東方共和国」の名前から分かるように、独立前から現在に至るまで、ウルグアイ人は常にラプラタ河の東側の民であり、西側のアルゼンチンは兄弟国という意識でいるようです。実際のところ、人種構成(スペイン、イタリア移民の子孫が大部分)から、生活習慣までそっくり(ウルグアイ人にいわせれば、性格というか気質はだいぶ違うそうですが・・)。ウルグアイが独立できたのはまさに「奇跡」的だったんでしょうねえ。

そんなこんなで、つい最近、ウルグアイ政府は危機的状況を打開するための、大型の歳出削減策を打ち出しました。所得税の税率アップや、公共料金への新たなる課税などなど・・・増税策のオンパレード。ウルグアイ人でない私でもスーパーに行くたび、「今日も高い買い物した・・」とため息がでます。ちなみに、消費税にあたる付加価値税は23%・・・。おっきいですよ〜。ウルグアイの唯一の救いは、アルゼンチンの様に政治腐敗が進んでいないことでしょうか。おかげでIMF(国際通貨基金)からの追加融資を獲得できました。

政治といえば、この国では、左派系(支持母体は労組)の力が強く、伝統2大政党もお互い連立を組まなければ与党になれません。ということで、90年代に国営企業の民営化が急速に進んだ中南米にあって、未だに、電話公社の事業を一部民間に開放するか否かでもめまくっています。

おっと、政治の話をすると長くなるので、この辺で。

ともかくウルグアイは、経済大臣が日曜日の映画館に列をつくって皆と並んでる穏やかな国なのです。(日本だったらSPつけて高級料亭で食事?アルゼンチンだったら卵なげられてる?)

 (おわり)


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