Archivo #001
ホセイート自作自演の「グアンタナメラ」の最初の録音とされるものに1945年10月10日のRCA盤がある。この録音は30年以上前に日本で一度だけ復刻されたことがあり、そこではグアヒーラ・グアンタナメラが形式名、タイトルは「ペペシートのソロ」(El solo de Pepecito)となっている。歌詞もペペシートのピアノのことを歌っており、ホセ・マルティの詩を当てはめる以前はこうした即興的な歌詞がつくことが多かった(実際ホセイートは同じメロディにいくつかの歌詞をつけ登録している)。今から50年以上前の録音だが、ペペシートを称えるホセイートの歌のバックで若き日のペペシートは誇らしげにソロを弾いている。 そのペペシートが84歳にして「グアンタナメラ」を再録音したのだ。ライナーを見るとホセイートの音楽ディレクターをつとめた後、ファハルド、アルセニオ・ロドリゲス、ベニー・モレーらの楽団で弾き、アメリカでも活動、さらに世界を放浪し、何と日本にも来たのだというが...。生来のボヘミアン気質が災いしたようで、この間の彼の活動がわかるような録音は実はほとんど残っていない。20年ほど前キューバに戻りひっそりと暮らしていたところを「ブエナ・ビスタ」出演者でもあるエリアデス・オチョアに見出され、今回の録音につながったという。 演奏はバイオリンやフルートを加えたチャランガ編成をベースにしているので、完全にピアノとリズムのみで録音されたルベーン・ゴンサーレスのCDとはだいぶ印象が異なるが、力強い明るいピアノはとても84歳のものとは思えない。アメリカ生活を思わせるようなジャズや「ビギン・ザ・ビギン」、有名な「南京豆売り」もあるがやっぱり「グアンタナメラ」が最高。録音の良さも特筆ものだ。日本盤発売が望まれる。 |
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