一期一会 テポストラン編 (2)

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2度目の登山とあり、ちょろいちょろいと思っていましたが、それなりにしんどいし、やっぱり犬はでかくていっぱいいるし、全く余裕もなく「まだかな〜、まだかな〜」といいながら登っていました。そして、ピラミデからの景色は相変わらず圧巻でした!登ってよかった!

ピラミデの上でしばし物思いにふけっていると、見知らぬメキシコ人が声をかけてきました。もう慣れっこのシチュエーションです。「ねえ、君たち日本人でしょ?俺、日本人の友達いるんだよ!名前はね・・・」どうやら大学生らしい彼は、つたない私たちのスペイン語につきあいながらも楽しそうに話してくれました。たいして話題がふくらむことはないのですが、何となくお互い満足。偶然ながら出会えて、少しであっても話ができたということが何より幸せなことだったということでしょう。

そんな彼とお別れをして、また険しい山道を下っていき、やっと商店が並ぶちょっと手前までやってきました。誰かが「テキーラが飲みたい!」と(たぶん)言ったので、私たちは山の麓にあった、小さなテントを張って、プラスチックの机やいすを並べただけのお店でテキーラを注文。小さな壺のような茶色い陶器の中にテキーラとオレンジジュース、壺の口には塩を塗り、ちゃんとオレンジのカットも挟んでありました。汗をかいた後の一杯!たまらない!とテキーラを堪能していると、「一緒に写真を撮ってくれ」とまたまたメキシコ人。かなりの団体で、しかもよく似た顔の人が何人もいる!日本人を見るのは初めてのようで、珍しいから一緒に写真を撮りたかったようですが、それだけで終わるはずはなく、そのままメキシコ人の団体さんと一緒におしゃべりをしていました。この団体さん、実はこの日テポストランの山の麓のこのお店で兄弟姉妹会をしていたのです。10人兄弟のうちのだいたい半数とその配偶者、そしてその間に生まれた子供たちが集まってお祭り騒ぎをしていたこところに、私たちがやってきたというわけです。

小さな子供にスペイン語を教えられたあげく、堪能な英語まで披露されたり(いや、かわいいんですよ。かなり得意げな感じがまた、ちょっと憎らしいけど憎めない感じで)、お父さんが兄弟構成を説明してくれたり、サッカーのことを熱弁してくれたり・・・かなりの時間おしゃべりをして、気がつくと日が傾きかけているではないですか。さすがに帰らないとと思い、私たちはバス乗り場へ、彼らも千鳥足で帰路についたのでした。

家に帰ると案の定、ママが心配をしていました。バスで片道1時間とかからないテポストランで、朝家を出たのだから当然3時くらいには帰ってくると思っていたのに、ちっとも帰ってこない。「心配したのよ!」と言うママに、そりゃそうだよなと思って今日1日のできごとを食事をとりながら話すと、状況を把握したママはだんだんご機嫌に。山の麓で出会った中のひとりから住所をもらっていた私はそれをママに見せてみると、その人が住んでいるあたりのことを詳しく教えてくれました。

その日は、とりわけ幸せな気持ちでベッドに入りました。すてきな出会いは、やっぱり人を幸せな気分にするようです。

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