■経済ニュース■

2001.05.28号

5月のインフレ率はわずか0.02%、1988年以来もっとも低い率

メキシコ銀行の発表によると、5月前半のインフレ率は、消費者物価指数の半月ごとの算出を開始した1988年以来、同時期としてはもっとも低い率となった。基礎バスケットの準指数は0.36%減り、これも1988年以来最大の下げ幅。4月は0.5%のインフレ率だった。メキシコ銀行は去年の年間8.96%のインフレ率に対し、2001年の目標として6.5%達成を掲げている。(Reuters, Cd. de Mexico, 2001.05.24)

電力生産を民間イニシアティブに開放するための構想を発表、とフォックス大統領

フォックス大統領は、電力の生産と石油関連以外のガスの生産を民間のイニシアティブに開放するための二つの構想を発表すると告知した。これにより、年間100億ドルの投資が見込める、としている。こうした構想や税制改革によって「ペメックス(メキシコ石油公社)の自由化」を図ろうとするが、ペメックス民営化はいっさい視野にないことも明らかにした。

また、現在メキシコには400億ドルを越える外貨準備があり、これがメキシコ史上もっとも高い準備率であることも強調、IMFや世銀の緊急援助を勘定に入れなくとも、メキシコ中央銀行に十分な準備があることを述べた。(Notimex, Coahuila, 2001.05.24)

現政権は新自由主義政権ではない、とフォックス大統領

フォックス大統領は、コアウィラ州への公式訪問中に「メキシコの現政権は新自由主義ではなく、現政権が行う経済提案は家族と人間を中心に据えたヒューマニズムモデルに沿ったものだ」と述べた。また同時に、政権の目標は2003年にはインフレ率を2〜3パーセントにまで押さえ、米国やカナダのインフレ水準と同等にすることだと述べた。インフレ率の今年の目標としては、米国の4.5%を2%上回るだけの6%に押さえようとしている。(CNI en Linea, 2001.05.24)

自動車部門への海外投資家たちがメキシコ訪問

アジアやヨーロッパ、北米の80近い企業がメキシコを訪問し、いくつかの州における自動車部門・自動車部品部門のビジネスと投資の可能性を探った。企業家たちは、12の州と国立貿易銀行が共催する「自動車投資フォーラム2001」に出席した。(Notimex, Cd. de Mexico, 2001.05.21)


2001.05.21号

シティバンクとバナメックス、合併で合意

シティバンクを有するシティグループと、メキシコ第二の金融グループであるバナメックス-アクシバル(Banacci)は、5月17日木曜日、シティグループがBanacciを買収合併する合意ができたことを発表した。これにより昨年6月にスペインのBBVA(Banco Bilbao Viscaya -Argentaria)と合併したBancomerを抜いて、メキシコ最大の銀行が誕生する。また、メキシコではBanorteが外資の参加ゼロの唯一の民間銀行となる。今後は両銀行の経営者会議による合併合意を受けて調整に入り、正式に合併手続きが終わるのは第4四半期となる見込み。

Banamexは昨年、Bancomerにも合併を打診していたが、Bancomer側はBBVAとの合併を選択。シティバンクも1999年にセルフィン銀行買収によるメキシコでの勢力拡大を図ったが、セルフィンはスペインのサンタンデール銀行(Santander-Central Hispano)との合併を選択した。メキシコの民間銀行は1995年以来外資の参加を相次いで受け入れており、合併も続いている。

Citibank-Banamexはメキシコ国内ではBanamexの名称で操業し、現在メキシコ国内にあるシティバンク支店はすべてBanamexの名称に統合される。(Grupo Reforma, Cd. de Mexico, 2001/05/17)

シティバンクによるバナメックス合併は、単独銀行による国外で銀行買収では最大

シティバンクによるバナメックスの全株式の買収は125億ドル規模になる見込みで、米国の単独の銀行による買収としては最大のものとなる。またメキシコにとっては、国内の金融システムの全株式の83%が外資によって保有されることとなる。

シティバンクはまず、メキシコ金融担当当局により合併が認可された段階でメキシコ証券取引市場(BMV)にBanacci分の株式を100%公開する予定。その後第二段階としてBMVへの株式上場を申請する見込みで、上場が認められるとメキシコの株式市場初の外国企業となる。

バナメックス経営代表のロベルト・エルナンデスは、今回の合併はこれまでのメキシコの銀行の合併や売却とは異なりBanacciの資金不足によるものではないとしている。(La Jornada, Cd. de Mexico, 2001/05/18)

シティバンクとバナメックスの合併でスペイン銀行劣勢に

スペインの経済紙エクスパンシオンは、「シティバンクとバナメックスの合併はメキシコの金融システムの競争力を強化するが、メキシコにおけるスペイン銀行(ビルバオ・ビスカヤ銀行およびサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行)は形勢不利となるだろう」との記事を掲載した。また、1994年のメキシコ経済危機に終止符を打ち、国際金融におけるメキシコの力を強化するだろうとも述べた。(El Economista Online, Notimex, Madrid, 2001/05/18)

ECLAC(ラテンアメリカ・カリブ経済会議)もメキシコの経済成長率低下を予測

ECLAC(ラテンアメリカ・カリブ経済会議)は「2001年 新国際情勢下でのラテンアメリカの展望」と題した資料の中で、今年のメキシコの経済成長率はラテンアメリカ諸国の平均成長率と同じ3%前後となるだろうと予測している。またラテンアメリカ地域で米国経済の低迷の影響を最も大きくうける国はメキシコとドミニカ共和国と中米諸国であるとした。いずれも近年高い経済成長率を実現してきた国々。(CNI en Linea, 2001/05/15)


2001.05.14号

メキシコ政府、構造調整政策「経済強化計画」を発表ー今年の経済成長率予想を2.5%〜3%に下方修正、33億7500万ペソの財政支出削減

メキシコ政府は11日、「経済強化計画」の名で新しい構造調整プログラムを発表した。このプログラムの二つの柱は(1)生産部門の競争力の強化、(2)国家財政の強化、である。33億7500万ペソの財政支出削減については、第1四半期にメキシコ石油公社(PEMEX)の収入減による政府の歳入減が背景にあるとし、必要に応じて毎月削減額を見直していく方針。経済成長率のさらなる下方修正については、米国の経済減速を理由としてあげ、この影響に対処するためにも構造調整プログラムが必要であると述べている。またこの政策による政府の人員の大幅な削減は考えられていない。(Grupo Reforma, Cd. de Mexico, 2001/05/12)

*構造調整政策の全文はこちら(スペイン語)


2001.05.07号

新経済構造調整プログラムは社会的コストを生まない、とフォックス大統領

フォックス大統領は18時間の米国訪問からの帰国便に乗る直前のインタビューに答え、来週発表される新しい経済構造調整プログラムは失業などの社会的コストを生むことなく、貧困対策の予算を削減することにもならない、と述べた。(CNI en Linea, 04/05/2001)

IMFが財政改革案を評価、世銀は同調しつつも慎重論

IMFは、メキシコ国内で激しい議論を巻き起こしている財政改革は過去10年以上に渡ってIMFが行ってきた勧告に応えるものであり、この改革が行われればメキシコの経済の脆弱性は改善されるだろうと評価した。世銀はこれに対しほぼ同調した評価をしているものの、今後数カ月の動向を見守るべきだとの見解。また、フォックス政権下のメキシコの最大の課題は、都市部と農村部を含めた国全体に平等に資源を分配することであり、インフラ、教育、衛生、貧困の撲滅といった根本的な問題への解決の糸口を探ることであるとしている。(CNI en Linea, 04/05/2001)


2001.05.01号

IMSS、米国の景気低迷の影響により14万以上の雇用が失われたと発表

メキシコ社会保証機構(IMSS)の発表によると、今年の1月から4月前半までに喪失した雇用から創出された雇用を引いた結果、14万以上の雇用が失われた。しかしながら労働大臣は緊急失業対策を講じるほどの指標はない、との見解を示している。(Reforma, Cd. de Mexico, 27/4/2001)

IMFが今年のメキシコ経済見通しを発表、国内総生産成長率は昨年の6.9%を大きく下回る3.5%に下方修正

IMFが4月26日に発表した経済見通しによると、メキシコの今年の国内総生産(PIB; Producto Interno Bruto)は昨年の6.9%を下回る3.5%となる見込み。石油価格の低迷と、隣国米国の景気低迷が大きく影響するとみられる。しかしながら現在のメキシコ経済のファンダメンタルズは良好であるため、米国経済の減速によって大きな打撃を受けることはないだろうと評価している。また、2002年は4.7%に回復すると予測。

今年の消費者物価指数上昇率(インフレ率)に関しては、昨年の9.5%から6.9%まで下がるとの予測だが、2002年は5.5%とさらに下がると推計している。高すぎる経済成長率は高インフレの原因ともなるので、昨年ほど高い成長率が続くのも好ましくないとの見解を発表している。(Grupo Reforma, Washington DC, 26/4/2001)

食料品・医薬品への付加価値税率は15%でなく10%以下とする方向で財政改革への新提案

上院の財政委員会会長を務める政権政党PAN(国民行動党)のアムダン・アマド参議院議員によると、医薬品や食料品、書籍、学費やその他のサービスに対する付加価値税率は一律ではなく、特に医薬品や食料品に関しては多く見積もっても10%以下、5%にまで押さえられる可能性もあり、また医薬品や食料品の中には課税対象外となるものもあり得る。(El Universal, Queretaro, 23/4/2001)