■社会ニュース■


2001.10.29号

極悪誘拐団を逮捕

メキシコ検察当局は22日、身代金目的の誘拐団"Los Colmenos"のアジト(メキシコ州テスココ)を捜索し、リーダーと外科医を含む団員6人を逮捕したと発表した。同誘拐団は、被害者の指などを切り落とし家族に送りつけることで破格の身代金を要求、その凶悪な手口で有名となっていた。逮捕と同時に救出された実業家は指を4本切断されていた。(Reuter,Mexico D.F,22/10/2001)

テロ影響で米国への不法移民が半減?

メキシコ移民局(INM)によると、9月11日の同時多発テロ事件以降、米国へ不法入国するメキシコ人の数は50%近く減少している。米国に居住するメキシコ人2300人のうち毎年300万人が、家族と再会するためクリスマスの時期などに里帰りするが、これに加え今年はテロの影響で約27万人がメキシコに帰国すると予想される。(Reuter,Mexico D.F,23/10/2001)

メキシコ初の盆栽大会

メキシコ連邦区(D.F)サンアンヘルのカルメン博物館で25ー29日、メキシコ盆栽協会主催の「第1回盆栽専門家会合」が行われる。国内の盆栽専門家による講演や技術指導の他、博物館の中庭で盆栽アートの展示会も開催される予定。(CNI en Linea)

メキシコシティ国際空港移転に関する世論調査

メキシコ連邦区(D.F)にあるベニート・フアレス国際空港にかわる新空港の建設地がメキシコ州テスココに決定(22日)したことを受け、レフォルマ紙が22日に首都圏在住の成人402人を対象に緊急電話アンケートを行った結果、「賛成」40%、「反対」44%、「どちらともいえない」16%だった。対立候補地であったイダルゴ州ティサユカとの比較で、テスココの有利な点としては38%が「都心から近い」を挙げ、懸念事項として52%が「環境破壊」を指摘している。新航空建設で現在のベニート・フアレス国際空港が完全閉鎖されることには66%が反対している。(Reforma紙より)

エイズ患者の85%が男性

メキシコ国立エイズ予防審議会(CONASIDA)のウリベ代表によると、同国エイズ患者数は累計5万人で、このうち86%を男性が占めている。同国では1年間に平均1万人がエイズウイルス(HIV)に感染しており、4500人がエイズを発病している。最大の感染要因はコンドーム未使用の性的接触。同審議会の推定でメキシコで1年間に行われる性交渉は10億2400万回、これに対しコンドームの消費量は僅か8000万個である。しかし、政府のエイズ予防キャンペーンなどの成果で、青少年の間では1995年頃からエイズの普及率は減速傾向にある。(Notimex,Cancun,QRoo,27/10/2001

連邦議会に低い関心ー世論調査

レフォルマ紙が24日に全国の成人501人を対象に電話アンケートを行ったところ、10段階評価で上下両院議員に対する評価は5.8だった。また、議員定数を正確に答えられたのは上院(128議員)に対し1%、下院(500議員)に対し5%で、「知らない」との回答は、それぞれ89%、88%にのぼった。連邦議会の役割などについては49%が興味がないと答えている。(Reforma紙より)


2001.10.22号

セディージョ前政権が国際学力調査の結果を隠蔽

15日付のレフォルマ紙は、1995年にメキシコを含む世界40カ国の小・中学生を対象に実施された国際教育到達度評価学会(IEA)の「国際数学・理科教育調査(TIMSS)」の結果について、当時のセディージョ政権が公表差し止めを行っていたことを明らかにした。メキシコは数学、理科ともに最下位グループにランキングしていた。当時の教育相ミゲル・リモン氏は「不用意に国民をガッカリさせたくなかった」と述べ、公表差し止めの理由についてIEAの調査方法や評価基準に曖昧な点があったことなどを挙げたが、一部の関係者は教員組合からの圧力があったと指摘している。この問題について国会議員や市民団体は、教育水準向上のためにも調査結果を隠蔽することのないよう政府に要求。これに対し、レジェス現教育相は18日、2003年に実施される次回調査の結果は必ず公表すると約束した。(Reforma,15-18/10/2001)

基礎教育に関する世論調査

レフォルマ紙が17日に首都圏在住で小中学生の子供を持つ親402人を対象に電話アンケートを行ったところ、同国の基礎教育の質に対する評価は「高い」7%、「普通」65%、「不十分」27%となった。公立校と私立校に対して「良質の教育を提供している」との回答は、それぞれ36%、76%。10点満点評価では、「無料の義務教育」7.2、「教員」7.0、「学校理事」6.9、「両親」6.9、「教育への技術支援」6.7、「文部省」6.7、「教員組合」5.7となっている。ちなみに、回答者の62%が子供を公立校に通わせている。(Reforma紙より)

メキシコ・中米人の40%が肥満

メキシコの著名な内分泌科医ギジェルモ・ファンガネル医師によると、メキシコ・中米諸国で1980年代に10%だった肥満者の割合は現在は40%に急増している。特に子供や青少年の肥満率が上昇しており、ジャンクフードの摂取量増加など食生活での問題や、任天堂ゲームやテレビ、パソコン利用で外で遊ぶ時間が減り運動不足が生じていると指摘した。(Reuter,San Jose,18/10/2001)

フォックス大統領のエナメル革ブーツを商品化

フォックス大統領の家族が経営する「Botas Fox(フォックス・ブーツ)」社は、フォックス大統領が15日、外遊先スペインの宮中晩餐会で着用したエナメル革のブーツを商品化すると発表した。フォックス大統領が「世界初」のエナメル革製ブーツを同社に特注したのは、欧州アジア歴訪に出発する直前。昨年12月の大統領就任後も自慢のカウボーイスタイルを崩すことなく公の場にもブーツで登場してきた大統領だが、スペイン国王夫妻が主催する晩餐会に正装の靴で出席するかどうか注目があつまっていた。フォックス・ブーツ社によると、すでに北部の音楽バンド(バンダ・グルペラ)からフォックスが使用したのと同じデザインのエナメル革ブーツの注文がきており、年内に全国で1000足以上の販売を見込んでいる。ちなみに予定販売価格は1200ペソ。(Reuter,Mexico.DF,18/10/2001)


2001.10.15号

米国のアフガニスタン攻撃に67%が反対ー世論調査

レフォルマ紙が7日に成人614人を対象に電話アンケートを行ったところ、米国のテロ報復攻撃に67%が反対と回答。賛成の27%を大きく上回った。メキシコ政府が米国の軍事行動を支持していることに対しても、65%が反対としている。事件とは無関係に米国に好感を持っているかとの質問に対しては、「非常に好感を持っている」19%、「少し持っている」28%、「あまり持っていない」25%、「全然持っていない」24%、「わからない」4%という結果が出た。回答者のうち66%が米国に親族を持っている。(Reforma,08/10/2001)

米国同時多発テロ事件が「コリード」の題材に

メキシコ北部の民謡「コリード」(物語り唄)に新しい主人公が生まれた。米国テロ事件の首謀者とされるオサマ・ビン・ラディンだ。コリマ州の地元ラジオ局で流れているコリードは、その名も『ビン・ラディンのコリード』。アコーディオンとギターを伴奏に「空から、海から、地上から/ビン・ラディン、お前を捜してるぞ/アメリカのCIAが/テロ事件の容疑でな・・」という歌詞で始まるこの曲、リズムは軽快なランチェロだ。作者のリゴベルト・カルデナス氏が「テレビで事件のニュースを見て、すぐに曲作りにとりかかった」と語っているとおり、テロ発生から1週間後にはラジオでオンエアが始まった。モンテレイ州の放送局でも、同じように地元作曲家が作った『マンハッタンの悲劇』、『暗黒の9月』といったコリードが流れている。実際に起こった事件を物語り調に歌いあげるコリードの題材には、小さな村で起こったスキャンダラスな殺人事件など「犯罪もの」が多く取り上げられる。シナロア州には麻薬カルテルをテーマにした「ナルコ・コリード」があり、カルテルのボスを英雄視しているとの理由で当局から放送禁止処分を受けている曲もある。Reuter,Monterrey,11/10/2001)

下院が大統領府のシンボルマークに反対決議

フォックスの"F"がモチーフ
メキシコ議会下院は11日、賛成211、反対169で、大統領府のシンボルマーク変更を求める決議を行った。昨年12月に就任したフォックス政権は、大統領府のオフィシャルエンブレムのデザインに、国の紋章である「蛇をくわえてサボテンの上にとまった鷲」の図柄の一部を使用している。これにイチャモンをつけたのが、野党PRIの議員たち。国章の一部をコピーし政治目的に利用する行為は「国章・国旗・国歌法」に違反していると批判。これに対して、与党PAN議員は「PRIこそ70年以上にわたる長期政権で、国のシンボルを乱用し続けてきた。」と反論している。(Reuter,11/10/2001)

市バスにのって家電製品を当てよう!

メキシコシティのロペス市長は11日、市営バス(RTP)の利用者を対象に「宝くじ」を開催すると発表した。10月21日から12月30日までの期間限定で、抽選は毎週日曜日に実施。利用者は市バスを利用した際に運転手から受け取るチケット(1.5ペソ)の一部に名前と連絡先を書き込み、バス停やスーパー、市場、区役所などに設置される抽選箱に入れるだけ。当選者は水曜日の新聞紙上で発表される。気になる賞品は、カラーテレビ、ミニコンポ、ビデオデッキ、ガス台、ミシンがそれぞれ6台、洗濯機3台、冷蔵庫4台、ミキサー11台、ラジカセ15台、パソコン1台と庶民に人気の家電製品が中心。ロペス市長は、(バス運転手の運賃横領を予防するためかとの記者団の質問に対し)「利用者がきちんと運転手にチケットを要求するようになって欲しいだけだ」と語った。市営バスの利用者は80万人にのぼる。(Notimex,11/10/2001)

国際セルバンテス祭が始まる

メキシコで最も美しいコロニアル都市、グアナファトで10日、毎年恒例の「国際セルバンテス祭(fiesta internaciol de Cervantino)」が始まった。街中が音楽と芸術の舞台となるこの祭典も今年で29回目。世界40カ国から2千人のアーティストが集結し、100以上のプログラム(オペラ、劇、コンサートなど)が市内の劇場や教会、野外ステージで催される。開催期間は今月28日まで。(CNI en Linea,10/10/2001)

<詳しいイベント内容については以下のサイトをご覧下さい>
http://www.festivalcervantino.gob.mx/
http://www.reforma.com/coberturas/festivalinternacionalcervantin/

スペイン・ゴヤ賞への出品作決定

メキシコ芸術映画科学アカデミーは11日、スペイン版オスカー「ゴヤ賞」の外国映画(スペイン語圏)部門に「Perfume de Violeta(スミレの香り)」を出品すると発表した。メキシコシティの貧困地区に暮らす2人の少女の友情を描いた同作品は5月にメキシコ版オスカー「アリエル賞」を5部門で獲得している。監督はMaryse Sstach。主役は映画初出演のNancy Gutierrez とXimena Ayala 。(CNI en Linea,11/10/2001)

ゲレロ州で2度の地震

7日の午後9時半ごろ、ゲレロ州を震源地とする地震が発生した。地震の規模はマグニチュード6.1。同州の他、オアハカ州やメキシコシティでも揺れが観測されたが、怪我人や死者などの被害届けは出ていない。11日午後7時半にも、同じくゲレロ州を震源地としたマグニチュード4.3の地震が起こっている。(Notimex)

サッカー:2002年W杯予選、出場権獲得まであと一歩

サッカーの2002年ワールドカップ(W杯)北中米カリブ海予選が7日行われ、メキシコはコスタリカに0-0で引き分けた。同日に米国がコスタリカに続き予選突破を決めており、W杯本大会出場の最後の1枠はメキシコとホンジュラスの直接対決(11月11日)で争われることとなった。Reuters,07/10/2001)


2001.10.08号

サマータイムが終了

9月29日深夜12時にサマータイム(夏時間)が終了した。(これで、日本とメキシコシティとの時差はマイナス15時間にもどる)1996年に導入され以来、実施効果をめぐり賛否両論のサマータイムだが、今年、フォックス大統領は通常の実施期間(4月から10月の7か月間)を短縮し、5月から9月までの5か月間実施した。政府当局は、65億ペソ(6億8,000万ドル)相当の節電効果があったとしている。

米国テロ事件に対する政府の対応、国民の6割が「躊躇、混乱している」と評価

レフォルマ紙が9月29日に成人850人を対象に電話アンケートを行ったところ、米国多発テロ事件に関するメキシコ政府の対応について、60%が「躊躇、混乱している」との見方を示した。一方、米国の報復行動についてメキシコは中立の立場を維持するべきかという質問に対しては、73%が「賛成」と答えたが、米国が今後起こりうる経済危機などでメキシコを金融支援しなくなるとしても中立の立場を維持すべきかとの質問に対して「賛成」は39%に減っている。(Reforma,04/10/2001)

68%が毎日ラジオに接触ー世論調査

レフォルマ紙が9日、メキシコシティ在住の504人(16歳以上の男女)に「ラジオ」の利用に関する電話アンケートを行った結果、68%が「毎日聴いている」と答えた。「頻繁に聴く番組ジャンル」では、音楽、ニュース、スポーツ解説が上位を占めている。ラジオに接触する主な場所としては68%が「家」をあげており、世帯あたりのラジオのラジオの保有台数は、「1ー3台」が72%、「4ー6台」が25%、「7ー12台」が3%となっている。(Grupo Reforma

新作メキシコ映画、またもや18禁指定に

11日から劇場公開されるメキシコ映画の新作「De la calle」がまたもや、当局から18禁指定(カテゴリーC)を受けた。同作品の中心テーマは路上で暮らすストリートチルドレン。主人公である15歳の青年の父親探しの物語で、前回18禁指定を受け話題となったメキシコ映画「Y tu mama tambien」(アルフォンソ・クアロン監督)に出てくるような過激なセックスシーンは含まれていない。しかし、主人公が麻薬常習者であることや、ストリートで話されている卑猥な言葉遣いなどが、検閲の対象となったようだ。監督ヘラルド・トルット氏は「B指定を念頭に作品づくりをした。当局の判断はまったくの時代錯誤。」と不快感を表明している。ちなみに、同作品は先日開催されたスペインのサンセバスチャン国際映画祭でサルヴァゲッティ賞を受賞している。(Reuters, Mexico DF,04/10/2001)

エルトン・ジョンのチャリティーコンサート、物議をかもす

フォックス大統領夫人、マルタ・サアグン女史が会長を務める「ヴァモス・メヒコ基金」の主催で、今月21日にメキシコシティのチャプルテペック城のテラスで行われる英国人歌手エルトン・ジョンのチャリティー・ディナーショー。このイベントが歴史的建造物であるチャプルテペック城内で開催されることに反対するINAH(メキシコ国立人類学歴史学研究所)の職員、教授、研究者らはこのほど連名で、政府関係当局およびフォックス大統領に抗議書簡を送った。同研究所は文化財や遺跡の保護活動を行っており、コンサート出席者による文化財へのダメージなどに懸念を表明した。この慈善ディナーショー、その高額なチケット料金でも話題を集めており、全部で100あるテーブル席(10人用)の値段は10万ペソ(約1万600ドル)、7万ペソ(約7,400ドル)、5万ペソ(約5,300ドル)の3種類。エルトン・ジョンは、この他にメキシコシティ最大のコンサート会場「アウディトリオ・ナシオナル」(1万人収容)で22、23、25日の3日間コンサートを行うが、こちらのチケット料金は300〜1,900ペソ(29〜186ドル)となっている。ちなみに、メキシコシティの最低賃金は1カ月1,220ペソ(134ドル)。

※チャプルテペック城・・・スペイン植民地時代の1785年に当時の副王が城砦兼別荘として建設。1866年にフランス軍のマクシミリアン皇帝により宮殿として改装され、その後も大統領官邸として使用されていた。1934年にカルデナス大統領が国立歴史博物館に指定し、1944年から一般公開されている。(CNI en Linea, Reuters 他)

メキシコ州の誘拐事件、昨年より増加

メキシコ州検察庁の発表によると、今年1月から9月までに発生した誘拐事件は55件で、昨年1年間の47件をすでに上回っている。55件のうち、解決したのは20件、3件は誘拐後に被害者は犯人に殺害されている。捜査の過程で20の誘拐犯罪組織を摘発、計118人を逮捕した。(Grupo Reforma

外務省情報〜最近のメキシコ治安情勢に関する注意
(転載)外務省 海外安全ホームページ http://www.mofa.go.jp/pubanzen

外務省海外安全相談センター(2001、10、1)
 在メキシコ日本国大使館は、在留邦人に対し現地治安情勢について、概要下記のとおりお知らせし、注意を喚起しました。現地に行かれる際には、参考にして十分ご留意下さい。
1.犯罪発生率
 メキシコ連邦区における年間犯罪発生件数は、公式発表で20〜25万件で推移しています。これは被害届の届出件数であり、被害届を出すのは全体の15%という世銀のアンケート調査を踏まえれば、実際には年間130〜170万件の犯罪が発生しており、これは5、6人に1人が何らかの犯罪に遭遇していることになります。
 また、80年頃の10万人当たりの犯罪件数が1250件前後であったものが、97年には3000件に達しており、メキシコ連邦区の治安が著しく悪化している傾向にあります。
 98年の犯罪発生件数を、東京のそれと比較すると、殺人及び婦女暴行の発生件数は東京の各々約6倍、強盗では約97倍となっています。
2.犯罪の凶悪化
 メキシコ連邦区では、95年以降年間、殺人1000件前後、婦女暴行1300〜1500件、強盗8万件台、傷害2万4千件前後発生しています。
 犯罪総発生件数に占める暴力を伴う犯罪は、90年の27%から98年には48.5%までに上昇しています。
 世銀のアンケート調査でも、被害者の内23%が負傷したとしており、毎年メキシコ連邦区の住民の20人に1人は犯罪により身体に危害を加えられていることになっています。
3.誘拐の脅威度
 メキシコにおける誘拐発生件数は、95〜99年の5年間で全国で3183件で、年平均637件となります。しかし、これは通報のあった件数であり、実際には、その4〜5倍の年間2500件以上の誘拐事件が発生していると推測され、その場合、メキシコ連邦区において年間600件の誘拐が発生していることになります。
 2000年の地域別発生で見ますと、メキシコ連邦区が141件、メキシコ州が47件、ゲレロ州が40件、モレロス州が34件、シナロア州が26件となっています。
 他方、誘拐事件には分類されないものの、短時間身柄を拘束し、比較的低額の身代金を要求する、いわゆる「特急誘拐」がメキシコ連邦区及び周辺都市を中心に急増しています。人質自身、あるいは人質の家族を脅迫し、銀行口座の全額を降ろさせる等の手口ですが、メキシコ連邦区でも平均1日4件の被害届が出されており、実際の発生件数が4倍とすれば、メキシコ連邦区だけで年間6000件程度発生していることになります。
4.日本人に対する脅威度及び心得
 今後、一般犯罪は、メキシコの経済が後退局面に入っていると見られることから、増加することも予測されます。
 最近では、メキシコ国内で日本人が対象となる大きな事件は発生していませんが、普段から周到な準備をしておくことが必要です。
 また、誘拐に関していえば、日本人が誘拐の標的になっているとの情報はありませんが、日本人は「金持ちである」「生活水準が高い」及び「パターン化された生活をしている」等のイメージをもたれがちであり、充分な注意が必要です。
 メキシコに行かれる際には、現地の治安の現状を充分に把握し、意識の向上に努めることが必要です。
5.緊急時の連絡先(メキシコ)
(1)治安機関
  ・連邦予防警察:01-800-440-3690
    (24時間対応、担当事案:誘拐、連邦犯罪)
  ・連邦区検察庁:060
    (24時間対応、担当事案:殺人、強盗等一般犯罪の捜査)
  ・連邦区警察庁:061
    (24時間対応、強盗等一般犯罪の予防・鎮圧)
(2)在メキシコ日本大使館(領事部):5514-4507
    


2001.10.01号

メキシコでビン・ラディンの目撃情報?マスクでビン・ラディンを嘲笑するメキシコ人のユーモア

現在、世界中でその行方が捜されている男、オサマ・ビン・ラディンがここ数日、メキシコの町で見かけられるようになった。街角で、アメリカ合衆国の大統領、ジョージ・ブッシュと共に。
というのは、メキシコのあるメーカーが、ラテックス素材のマスクを製造しているのだ。
ビン・ラディンのマスクは、通りの露店や、お店で販売されており、イスラム風の衣装とセットで300ペソ(約30ドル弱)。ちなみに、ブッシュのマスクは100ペソ(約10ドル弱)である。
これらのマスクを製造している会社の経営者、アレハンドロ・ベラスケスによると、500個のビン・ラディンのマスクと衣装を製造したが、4日間で全て売り切れてしまったため、引き続き900個を追加で製造する予定。ビン・ラディンのマスクだけでなく、ブッシュのマスクも同様だ。(ENFOQUE 9月27日 メキシコシティー)

メキシコの犯罪の原因は麻薬である、と政府が発表

メキシコ政府は、メキシコで起こる犯罪のほとんどが、麻薬が原因となって起こっている、と発表した。現在、メキシコの18歳以下の犯罪者の90%は麻薬中毒者である、とメキシコ公安局のアレハンドロ・ゲルツは言う。「犯罪は、定職がなく、重度の麻薬中毒者の若者が何ペソかを得るために、車を盗んだり、人を殺したりして起こる。彼らは、そうして得た何ペソかで麻薬を買う。」民主革命党(PRD)の統計によると、3年前には63万6千人以上のメキシコ人が麻薬取引に関っており、麻薬取引のために1年に2億800万ドルが公的機関への買収として使われた。メキシコの麻薬カルテルは1998年に約600億ドルを稼いだという。公安局は、フォックス政府とともに、12月にこれらの問題に対してなんらかの対策をたてる予定である。メキシコは南米からアメリカ合衆国へコカインを運ぶ主要ルートとなっており、そのうえ、マリファナの主要原産地である。( Notimex, 9月25日)

メキシコはアメリカ合衆国の仲間であり、決して「取り巻き」ではない。と作家フエンテス語る

メキシコ人作家、カルロス・フエンテス氏が火曜日に「メキシコはアメリカ合衆国とは同レベルの仲間であり、決してあげへつらうような真似はしてはならない。」と意見を述べ、また、テロへの報復に向かっているアメリカ合衆国の政策を批判した。フエンテス氏は現在、世界中が、どこにいるか分からない敵に向かって戦争をしようとしていると語る。「アメリカ合衆国が有している経済力、想像力、文化によって、テロが起こった背景となる世界の貧困問題を解決するようにそれぞれの国がアメリカ合衆国を導くべきである。」と彼は考える。フエンテス氏は、メキシコ政府がアメリカ合衆国を支援するのは現在の外交政策からいって仕様がないが、「われわれはアメリカと同レベルの仲間であり、その手下ではない」というスタンスを持ち続けることが大切であると強調した。(Notimex 9月25日)

メキシコ警察が国民の信頼度を高める手段として、ラジオを使用

警察官による犯罪が多いとされるメキシコ・シティで、国民の警察に対する信頼を回復させるキャンペーンを、ラジオを使って行うことになった。月曜日から、ローカルのラジオ番組で、メキシコ警察が良くなる、というメッセージが放送される。2000万人の人口を抱えるメキシコ・シティでは、1日に543件もの犯罪が報告されるが、この数字は実際に起こる犯罪の20%にしか過ぎず、残りの80%の犯罪は警察に届けられていない、とある専門家は見ている。これは、市民の警察に対する不信感が原因である。この警察のラジオ番組を使った信頼回復キャンペーンは10月〜11月に行われ、費用は3億1500万ペソ(約3300万ドル)。もし、このキャンペーンにより良い結果がでた場合、1月にも同様のキャンペーンを行う予定。「まずは警察が良く変わるであろうことを信じなければ、メキシコでお互いを信じあうなんてできない」と、ラジオのメッセージ。(Notimex 9月24日)