■ 政治ニュース ■

2002.04.30号

電力部門改革が頓挫

メキシコ最高裁は4月25日、昨年フォックス大統領が公布した電力部門改革を無効とする判決をくだした。最高裁は反対票8票を得て、「電力に関する公共サービス法」は憲法27条に違反するものであり、行政府による立法府の管轄範囲への侵害行為であるとした。三権分立においてどこかの府が(今回の場合は立法府)行政府による侵害行為を批判し、それが司法府によって解決されたというケースは歴史上初めてのこと。
フォックス大統領の電力部門改革案は2001年5月に公布されたが、連邦電力機関に民間の電力会社が電力を供給できる量を増やすものであったが、議会では電力部門を司る法律に照らすとやりすぎであると捉えられていた。Reforma, Ciudad de Mexico (abr 25, 2002)

メキシコ国民、カストロに対するフォックス大統領の振る舞いを批判

レフォルマ紙が24日に発表したアンケート結果によると、メキシコ国民の65パーセントがフォックス大統領のカストロ議長に対する振る舞いを「正しくない」と評価し、二国間関係の決裂を望まない、という結果が出た。しかし、64パーセントは「メキシコは米国との関係を優先すべきである」とも答えている。レフォルマ紙は23日に全国の成人521人に対して電話によるアンケートを行い、誤差は4.5パーセント。
フォックス大統領は対キューバ外交について、10段階評定で6.1ポイントとされた。
メキシコ-キューバ間関係は、カストロ議長が先月のモンテレイにおける国連開発資金会議での退場はメキシコ政府からの圧力によるものだと述べてから始まった。
二国間の対立は、カストロ議長がモンテレイ会議終了と同時に退席し、反米の意見を述べないようにし向けるための戦略を、フォックス大統領が提案している電話の会話記録をカストロ議長が22日に公表したことでさらに悪化した。
フォックス大統領とカスタニエダ外相は、カストロ議長に対して早期退席を求めたことを繰り返し否定していたが、カストロ議長によって証拠が公表されてからは、国民の7割が「フォックス政権に対する信頼は失墜するだろう」と答えている。AP (abr 24, 2002)


2002.04.23号

メキシコはキューバ批判側に投票する、と発表

メキシコは4月15日月曜日、キューバの人権問題について国連の監視を付けるというラテンアメリカ諸国が国連人権委員会に提出した提案に賛成票を投じるだろうと発表した。
この提案はウルグアイによってジュネーブに提出され、ラテンアメリカの8カ国もこれに賛同していた。
「メキシコはラテンアメリカ諸国に支持されたウルグアイ案に賛成票を投じるだろう。この案は過去の罪状を問うものではなく、建設的で協力的な目的に収斂しているからだ」とメキシコ大統領府は声明の中で述べた。
ウルグアイ案は経済的権利の分野でのキューバの人権の進展を認めたものの、今後も人権問題での進展を続けて行く必要性があるとしている。
メキシコは「人権、市民権、政治的権利の分野でも同じように進化する努力をするよう、キューバ政府に要請するものだ」と付け足している。Reuters (abr 15, 2002)

国連人権委員会、キューバ批判を支持

国連人権委員会は4月19日金曜日、論議を呼んでいたラテンアメリカ諸国によるキューバに対する人権尊重の努力要請を支持した。
国連の中の主要な人権組織内で初めてラテンアメリカ諸国が主導して行ったキューバ批判の発議は、賛成23票、反対21票、棄権9票で可決された。
この結果キューバは社会政策改善と同様に人権強化の努力もするよう求められる。
同時に、人権委員会の上級委員であるメアリー・ロビンソン氏はこの問題についての進展を監視するため、代表者をキューバに派遣することを求めた。
ここ数年、キューバ問題は人権委員会に取り上げられていたが、ラテンアメリカ諸国はこれまではっきりした立場は示してこなかった。この問題はラテンアメリカ地域に大きな政治的論議を呼び起こし、フィデル・カストロ議長は米国の圧力に屈したとしてラテンアメリカ諸国を批判した。
米国は53ある当委員会の委員の座を昨年失ったが、ラテンアメリカ諸国の連帯をとりまとめたとの見解を否定したものの、今回の決定を賞賛した。


2002.04.16号

国連人権委員会でのキューバ人権問題投票でジレンマを抱えるメキシコ

専門家によると、キューバ関連で行われる国連での投票でどのような票を入れるか、岐路に立たされている。議会との対立を引き起こさず、かつ人権保護・促進の外交政策に合致した態度をとらねばならないためだ。
今週ジュネーブで開かれる国連人権会議でのキューバ問題をめぐる投票で、メキシコが初めて反キューバの票を入れる可能性があるとする専門家もいれば、過去二年間と同じように棄権という方法をとるだろうとする専門家もいる。
メキシコ政治学研究所のゴンサレス所長は、「もしもメキシコが外交政策の一貫性を示したいなら、適切な条件であればキューバが人権侵害を行っているとする票を入れる可能性が非常に大きい」とロイター通信に対して語った。フォックス大統領および問題の渦中にあるカスタニエダ外相は、ウルグアイが他のラテンアメリカ諸国の支持を得て提出した「キューバに人権の分野での進歩を切望する」という提案について、メキシコは態度を決めるため検討中であると述べている。
もしもメキシコがキューバに人権問題での改善を求める票を入れれば、国際社会からの賛同を得られるが、政府の議会との対立関係は悪化し、内政不干渉の伝統的政策に対する裏切り行為とされかねない。フォックス大統領の国民行動党は議会で過半数を得られておらず、最近もフォックス大統領の外国訪問を議会が否決したばかりで、緊張関係にある。
またメキシコは長年にわたってラテンアメリカ諸国中もっともキューバ寄りの政策をとってきた。PRI政権中は常にキューバに好意的な票を入れてきていたが、セディージョ前大統領の時に初めて棄権し、フォックス大統領もこれに習った。アナリストによればこの時に両国関係は悪化し始めた。フォーリンアフェアーズ誌のスペイン語版編集長であるフェルナンデス・デ・カストロ氏は「メキシコが反キューバの票を入れることはあり得ないと思うし、もしもそうしたばあい行政府の大きな誤りとなるだろう。内政においても非常にコストの大きな行為になるからだ」と述べた。Reuters (abr 13, 2002)

フォックス外遊問題-憲法88条改正案をめぐって対立

連邦行政府の外遊許可に対して上院が握っている権限を除外するため、内務省が提案した憲法88条改正案が、民主革命党(PRD)、国民行動党(PAN)、緑の環境党(PVEM)の議員が対立している。
PRD議員らは連邦当局に対し、立法府と行政府を対立させるためにこの問題を「政治的旗印」として利用しないよう求めた。一方、PANのハビエル・コラル下院議員はメキシコの政治的近代性にそぐわないとして、憲法88条改正に好意的な立場をとっている。現行の憲法88条では、「メキシコ大統領は議会の承認なしには国土を離れることはできない」と定められている。Notimex (abr 12, 2002)

ロペス=オブラドール・メキシコ市長、ベネズエラ問題についてフォックス大統領に同調

ベネズエラの暫定政府を承認するかどうかをめぐる投票を棄権するというフォックス大統領の発表に対し、メキシコ市長ロペス=オブラドール氏もこの発表に同意した。違法で制度を無視した政府に賭けることはできない、と述べた。
記者会見で市長は、古典的な手法によるものであろうと偽装されたものであろうとクーデターは許せないと述べ、民主制の有効性を強調した。CNI en linea (abr 13, 2002)

メキシコ会計監査省(SECODAM)が汚職に関する会議を招集

連邦政府、企業家、研究機関、NGO、マスコミ、国際機関の参加を得て、4月15日と16日の両日メキシコシティで汚職撲滅国際会議が開かれる。
メキシコ会計監査省(SECODAM)が声明を通じて発表したところによると、会議は経済省の建物内で行われ、汚職問題を解決するためにその原因と結果と可能な解決方法について話し合う。SECODAMによると、会議では「国家機関の決意」「問題の定義:汚職の原因と結果」「米州反汚職会議によって得られたもの」といったテーマで各国が経験を交換しあう。会議の結果は国立自治大学UNAMの学長と調査教育センターの所長がまとめる。CNI en linea (abr 13, 2002)


2002.04.08号

フォックス大統領、連邦予防的警察隊に乗り物と武器を支給

フォックス大統領は4日、連邦予防的警察隊(PFP)に790台の乗り物と4600台の武器を受け渡した。3億6300万ペソ以上の投資となる。受け渡しの式典は、憲法広場(メキシコ市ソカロ)で、メキシコ市長ロペス・オブラドール市の立ち会いのもと行われた。これらの乗り物及び武器は、交通警察の活動及び、交通警察内の情報・救援部の活動に使われる。マネロ連邦治安省大臣は、治安活動を効率化するための着脱式のビデオカメラや無線機、データベース検索システムといった設備を備えた乗り物の技術的仕様を紹介した。マネロ大臣によると乗り物に対する投資は3億1700万ペソ、武器に対する投資は4500万ペソだった。Notimex (abr 4, 2002)

フォックス大統領、ロペス・オブラドールメキシコ市長と市内視察

フォックス大統領とロペス・オブラドールメキシコ市長は、メキシコ市内をともに視察した。二人の間にはいくつかの意見対立があるものの、穏やかな共同視察となった。
フォックス大統領は、「今回の視察の一番の成果は、(連邦政府と連邦特別区政府の)両政府がメキシコ市の住人のためにともに働くという誓いを確認できたことだ」と述べた。
フォックス大統領とロペス・オブラドールメキシコ市長は、2000年12月の就任以来、お互いに対する批判合戦が続いている。
メキシコ市はラテンアメリカの中でもとくに犯罪の多い都市のひとつとされており、また汚職の問題も深刻で、世界でも最悪とされる大気汚染のもと1800万人ほどが暮らしている。ロペス・オブラドール市長は「この街は重大かつ深刻な問題を抱えている。一番大きな問題は治安の問題だ。・・・犯罪撲滅のためには警察の力だけでは足りない。生活状態を改善することが不可欠だ」と述べた。フォックス大統領は治安問題と汚職の問題に正面から立ち向かうことを公約している。
連邦特別区政府によると、通報されている犯罪の数は、2000年の一日平均483件から470件にまで減少した。Reuters (abr 3, 2002)


2002.04.01号

メキシコ外相に対するキューバの批判には返答しない、とメキシコ政府

メキシコ政府は3月27日水曜日、キューバ共産党からのホルヘ・カスタニエダ外相に対する痛烈な批判に対して、返答しないとの姿勢を明らかにした。カスタニエダ外相はキューバ共産党機関紙グランマ紙上で、、カストロ議長が国連会議で突然反対を表明したことの責任はカスタニエダ外相にある、として批判された。これに対してフォックス政権は、グランマ紙の批判はキューバ政府の公式見解ではないとして、これに対して特に返答をするつもりはないと明らかにした。MEXICO DF (Reuters) (mar 29, 2002)

サリーナス帰国問題-デラマドリ元大統領がサリーナス氏を擁護

ミゲル・デ・ラ・マドリ元大統領は24日、メキシコ国民はサリーナス元大統領に対して不公正であったと言明した。「サリーナス氏はできる限りの努力をしたのであり、メキシコ国民がサリーナス政権を正しく評価できるようになるにはまだ時間がかかる」と述べた。「メキシコ社会がサリーナス氏に対して不公正だったと考えるか」との質問に対しては、「私はそう思う、否定的な面ばかりが強調されすぎだと思うし、もっと客観的に判断するよう、私たちみなが努力しなければならないと思う」と答えた。また、大統領としての氏の間違いは何だったかとの問いに対しては、「間違いというより、フラストレーションが多かったと思う」と答えた。Reforma(25 marzo 2002)

国立女性研究所が労働法改正会議にオブザーバー出席

国立女性研究所(INMujeres)は、労働・社会福祉省のカランサ大臣から、労働法を近代化し現状にそぐうものに変えるための決定を行う会議にオブザーバーとして出席するよう招待を受けた。INMujeresのトーレス所長は声明のなかで、この招待は労働における平等を探求するための大きな前進であると述べた。29 Mar (Notimex)